映画「ハリー・ポッター」シリーズの制作期間は10年におよび、その間に誕生した衣装の数は2万5,000点を超えます。そのうち600点は、ホグワーツの生徒が着用するローブでした。ホグワーツの制服はシリーズを通して基本的に変わりませんが、監督やデザイナーによって細かい部分が変更されました。
衣装デザイナーのジャニー・ティマイムはシリーズ第3作から衣装を担当し、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』でローブのデザインをアップデート。襟やフードに寮のテーマカラーをあしらい、寮の個性とプライドを表現しました。
ダンブルドアの衣装は趣向を凝らした力作です。考え抜かれたデザインのおかげで、愛され、尊敬されたキャラクターにぴったりな装いが完成しました。ダンブルドアの身なりも、ほかのキャラクターと同様に、シリーズをとおして変化します。
シリーズ前半ではアンティークの生地や織物を使った衣装が大半でした。後半になると、ダンブルドアは分霊箱を探す途中で負傷したため、その影響が身なりにも表現されています。ローブは色あせ、伸びきったひげはますます白くなりました。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では盛大なダンスパーティーが開かれ、おなじみのキャラクターが貴重な正装姿を披露します。このシーンに向けて、衣装デザイナーのジャニー・ティマイムは300点以上のイブニングドレスやフォーマルスーツをデザインし、100人の臨時スタッフが縫製を担当しました。
エレガントなドレス姿の女子生徒に対し、男子は“魔法界のタキシード”に見立てたロング丈の上着を着用。その大部分はシンプルな黒のドレスローブですが、ロン・ウィーズリーのローブだけは例外。カーペットの生地をレースで飾り立てたデザインは、いかにも流行おくれの“おさがり”という印象です。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』ではフランス魔法学校“ボーバトン魔法アカデミー”の生徒たちが華麗に登場し、三大魔法学校対抗試合に参加するため、ホグワーツを訪れます。黒とグレーを基調にしたホグワーツの制服は伝統的でカチッとした印象ですが、ボーバトンの制服はそれとは対照的。ボーバトンの制服には、“フレンチブルー”の色鮮やかな生地と体のラインにフィットしたデザインが選ばれました。